Last Updated on 2025年1月5日 by 渋田貴正
事業目的を定款に記載するときの「及び」と「並びに」の違い
定款に事業目的を記載するときは、法律用語独特のマナーがあります。このマナーを守っていないからといって定款が無効になるわけでもないですし、意味が通じなくなるわけでもないです。ただ、もし司法書士などの専門家が作成するとしたら結構気にするところではないかと思います。
その代表例が「及び」と「並びに」の違いです。
「及び」も「並びに」も並列(and)です。ただ、法律文書のマナーではこの両者は明らかに使い方に違いがあります。
まず、「及び」については、最小単位で同レベルのものをまとめるときに使用します。
そして、「並びに」は「及び」よりも大きなレベルでまとめるときに使用します。つまり、「及び」が出てこない文で「並びに」だけが出てくるということはあり得ないということです。
例えば、飲食店の経営とフランチャイズ展開ということを一行でまとめると「飲食店の経営及びフランチャイズ事業」となります。並列のレベルが一段階なので、使用するのは「及び」です。
ここで、上記の事業目的に、さらに「飲食関連商品の販売」を加えたい場合は、「飲食店の経営及びフランチャイズ事業並びに飲食関連商品の販売」となります。
飲食店の経営とフランチャイズ展開は同レベルですが、商品の販売は別のカテゴリなので「並びに」を使用します。事業カテゴリが異なるけど、似ている事業だからあえて併記するといった場合に「並びに」が出現します。そのため、「並びに」を使わずに別の項に分けても問題ないということになります。
他にも以下のような例が考えられます。
「電子機器の設計、製造及び販売並びにこれに関連するソフトウェアの開発、販売及び保守」
「不動産の売買、賃貸及び管理並びに不動産投資顧問業務」
3つ以上併記する場合は、最後だけ「及び」を使う
ちなみに、3つ以上の項目を併記する場合、最後だけ「及び」を使い、あとは「、(読点)」で区切ります。「ソフトウェアの開発、販売及び保守」といった感じです。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている