被相続人による相続準拠法の選択

国際相続においては準拠法、つまり発生した相続についてどの国の法律を選択するかということを判断することが非常に重要です。

国際相続で準拠法を選択するにあたっては、相続分割主義と相続統一主義という2つの概念があります。

 準拠法の決め方 内容 主な採用国
相続統一主義 相続財産の種類を問わず、被相続人の本国法(または住所地法)によって統一する考え方 日本・ドイツ・イタリア・韓国・その他EU加盟国など
相続分割主義 不動産についてはその不動産の所在地、動産については被相続人の本国法(または住所地法)を適用する考え方 アメリカ・イギリス・中国・シンガポール・オーストラリアなど

このように、各国の法律で財産ごとにどの国の法律を適用するかということが定められています。

しかし、国の中には被相続人に準拠法選択を認めている国もあります。相続の準拠法の選択制度については、原則的な準拠法を定めつつ、被相続人に準拠法を選択できる余地を残すことによって相続が発生したときの手続きなどの予見がしやすくなるというメリットがあります。

被相続人によって相続準拠法が選択できる国
大韓民国 原則は相続統一主義(本国法主義)
ドイツ 原則は相続統一主義(本国法主義)
スイス 原則は相続統一主義(住所地法主義)
イタリア 原則は相続統一主義(本国法主義)
ベルギー 原則は相続分割主義
リヒテンシュタイン 原則は相続統一主義(本国法主義)
ルーマニア 原則は相続分割主義
カナダ(ケベック州など) 原則は相続分割主義
アゼルバイジャン 原則は相続統一主義(住所地法主義)

ヨーロッパの一部の国などで認められていますが、特に日本にとっては隣国である韓国で被相続人による準拠法選択が認められているということが大きいでしょう。上記の例は一例ですが、EU加盟国については、上記の表に関わらず、EU相続規則では相続統一主義(住所地法主義)を採用していて、この規則を施行しているEU国については、上記に関わらず相続統一主義(住所地法主義)が適用されることになります。

細かい話はさておき、例えば韓国籍の人が日本で遺言書を残そうと思ったら、遺言者が日本の法律を選択した旨を遺言書に明記しておけば、その遺言書は日本国内で有効ということになります。

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