Last Updated on 2025年1月4日 by 渋田貴正

一時役員とは?

役員について、死亡や欠格事由の発生、解任が発生した場合で、その株式会社の業務がストップしてしまうような場合があります。これら以外で任期中であっても、例えば役員が急に倒れてしまって職務が執行できないという場合もあり得ます。

このような場合に取れる手段の一つが一時役員の選任です。

(役員等に欠員を生じた場合の措置)
会社法 第346条 役員(中略)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
2 前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。

前項に規定する場合とは、役員に欠員ができた場合を指しますので、とにかく役員が動ける状態になく株式会社の業務がストップしてしまう不測の事態を避けるための措置です。

一時役員の選任が認められるケースとしては以下のようなケースが考えられます。

・役員の死亡

・役員に欠格事由の発生

・役員の解任

・役員の行方不明

・役員の健康上の理由による職務執行不能

・役員の不正行為の発生

などです。

一時役員の選任方法

一時役員の選任をするためには、利害関係人から会社の本店所在地を管轄する地方裁判所への申立が必要です。本来であれば株主総会の決議を通して決めるべき役員について、一時的とはいえ株主総会の決議なしで決めるわけなので、勝手に利害関係者が決めることはできず、裁判所への申立が必要となっています。

ただし、本来であれば臨時株主総会を開いて、別の取締役を選任すべきところですので、一時役員の選任申立てはそうした候補者がいない場合の最終手段ということになります。また、一時的な役員なので本来の姿である株主総会での役員選任が行われたら、その役目を終えることになります。

なお裁判所が決めた一時役員への役員報酬については裁判所が定めることになっています。