管理行為と処分行為

法律で「行為」といえば意思に基づいてアクションすること(またはあえてアクションを起こさないこと)をいいますが、行為には大きく分けて2つの種類があります。

・管理行為
・処分行為

さらに管理行為は保存行為・利用行為・改良行為に分けられます。

これらのうちどれに該当するかによって法律上の取り扱いが変わってくる場合があります。

それぞれの行為の違いは以下の通りです。

種類 内容



保存行為 財産の滅失、損壊を防いで現状を維持するための行為 修繕・消滅時効の完成を防ぐ行為
利用行為 財産の性質を変更しないで、その用法に従って利用し収益を得る行為 賃貸
改良行為 財産の性質を変更しないで、その利用価値や交換価値を増加する行為 リフォーム工事
処分行為 財産の現状や性質を変更したり、財産権の変動を発生させたりする行為 売却・質入れ・取り壊し・消費

上記の例から分かるように、そのものに物理的に働きかけるアクション(事実行為)だけでなく、法的に働きかけるアクション(売却や時効中断などの法律行為)なども行為に含まれます。

管理行為と処分行為のイメージ

不動産であればイメージしやすいかもしれませんが、相続した預金について、どのような行為が上記に当てはまるのかということを考えてみます。

保存行為 金融機関への口座凍結の連絡
利用行為 利息やその他の入金の相続預金口座での受け取り
処分行為 口座の解約手続き

預金口座について改良行為はないと思われるので、上記がそれぞれの行為の例です。
相続の場面では、処分行為に該当する行為をしたために相続放棄ができなくなるといったこともあり、自分の行為がどれに該当するかということが非常に重要です。

上記の例では、金融機関に対して相続があった旨の通知をして口座を凍結してもらっただけであれば保存行為なので問題ありませんが、口座解約の手続きをすればそれは処分行為なので単純承認をしたものとみなされる可能性があります。

民法 第921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす

 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

👉今すぐ無料相談