国際相続での先決問題とは?

国際相続に限らずですが、相続において相続人を確定するには2つの段階があります。

1)相続法に基づいて、どの身分の人が相続人になるのかということ
2)そもそも相続人になるための身分を得る法律行為が有効に成立しているかどうかということ

例えば、日本では配偶者は相続人になります。しかし、そもそも婚姻が有効に成立していなければ、どれだけ配偶者だと名乗っても相続人になることはできません。例えば入籍していない内縁の人は相続人になることはできません。

このように、相続人の範囲を確定させる前に、そもそも身分関係として配偶者や子といった立場が法律上有効なのかを確定させる必要があります。そのため、2)の件を先決問題や前提問題といいます。

日本であれば戸籍が整備されているため、だれが相続人であるのかということも戸籍の記載をもとにすればよいのでそれほど困難ではありません。そのため、先決問題について意識することはありません。戸籍を集める過程で先決問題についても確認が取れるためです。

しかし、国際相続においては、先決問題が重要なポイントになります。日本のように戸籍が整備されている国は韓国と台湾くらいであり、その他の国については身分関係、例えば配偶者であるといったことや子であるといったことについては、都度公証書などを取得することで確認することになります。

国際相続での先決問題と相続人の範囲の確定問題

国際相続において重要なのは、上記の先決問題と相続人の範囲確定の問題を混同しないことです。

相続人の範囲の確定については、どの法律に準拠するかということに依存します。例えば、不動産の相続については不動産の所在地の法律(所在地法)を適用するという場合には、相続の準拠法は不動産の所在地の法律です。日本にある不動産であれば日本の民法が適用されます。そのため、相続人の範囲についても日本の民法に従って決めればよいということになります。

しかし、その前提としての婚姻が有効に成立しているか、養子であれば養子縁組が有効に成立しているかといった身分関係の問題については、相続の準拠法とは関係なく、本国の法律上有効に成立しているかという点を確認することになります。

このように、特に国際相続においては、相続人の範囲の確定も重要ですが、それ以前にそもそも相続人かどうかという先決問題の確認をクリアする必要があり、この点が手続きをスムーズに進められるかどうかのポイントになります。

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