海外在住の人が不動産の所有者になる場合の国内連絡先
国際相続の業務を行っていると、海外在住の人を所有権登記名義人にするケースも多くあります。こうした海外居住者(自然人・法人)を所有権の登記名義人とする登記の申請の際には、国内における連絡先となる者(個人または法人)の氏名・住所等の国内連絡先事項も合わせて登記する必要があります。
ただし、国内連絡先となる者がないときはその旨を登記することもできます。
国内連絡先を登記するには国内連絡先となる者の承諾書と国内連絡先となる者の印鑑証明書を提供する必要があります。
さらに海外移住によって海外住所への変更の登記を申請する場合にも、国内連絡先事項の登記がされていないときは、国内連絡先の登記が必要となります。
国内連絡先になることができる者
国内連絡先になることができる者については特に制限はなく、人でも法人でも国内連絡先になることができます。不動産会社や司法書士のほか、国内在住の親族や知人でも問題ありません。
また、所有権の登記名義人である外国会社自身が国内連絡先となる者となり、その国内営業所等を国内連絡先事項とすることも認められます。
国内連絡先として登記すべき事項
国内連絡先として登記する事項は以下の通りです。
<国内連絡先となる者が自然人の場合>
パターン1(親族や知人など)
(1)氏名
(2)国内の住民票上の住所
パターン2(個人事務所の司法書士など)
(1)氏名
(2)国内の営業所等(個人の事務所等)の所在地
(3)営業所等の名称
<国内連絡先となる者が国内で登記された法人の場合>
パターン1(本店を連絡先にする場合)
(1)商号
(2)国内の本店住所
(3)会社法人等番号
パターン2(本店以外の支店や営業所を連絡先にする場合)
(1)商号
(2)国内の支店や営業所等の所在地
(3)営業所等の名称
(4)会社法人等番号
<国内連絡先となる者が会社法人等番号を有しない外国法人の場合>
(1)名称(商号)
(2)国内の営業所等(日本における営業所のほか、登記されていない店舗等を含む。)の所在地
(3)営業所等の名称
<国内連絡先となる者が会社法人等番号を有しない内国法人の場合>
パターン1
(1)名称
(2)住所(主たる事務所)
パターン2
(1)名称
(2)国内の営業所等(従たる事務所のほか、登記されていない店舗等を含む。)の所在地
(3)営業所等の名称
<国内連絡先となる者がない場合>
・国内連絡先となる者がない旨
国内連絡先となる者がないときは、その旨の上申書(登記名義人となる者等の署名又は記名押印がされたもの)が該当します
印鑑証明書や登記事項証明書に記録された住所以外を連絡先にする場合
国内連絡先となる者の営業所等など登記されていない住所を国内連絡先事項とするときは、営業所等の所在地及び名称が記録されたホームページの内容を書面に出力したもの等であって、国内連絡先となる者の営業所等であることに相違ない旨の記載及び国内連絡先となる者の署名又は記名押印がされたものなどで住所の証明書にすることができます。
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司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている