アポスティーユと公印確認とは?

公文書を国際間で使用するには、アポスティーユや公印確認といった書類が必要になることがあります。

アポスティーユは、1961年に締結された「外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)」に基づく簡易な認証制度です。この制度は、ハーグ条約加盟国間で公文書を使用する際に適用されます。加盟国同士では、アポスティーユが付与された公文書をもって国際間で使用できる公文書として扱うことができ、追加の認証手続きが不要です。

一方の公印確認はハーグ条約非加盟国で公文書を使用する際に必要な手続きです。この制度は、発行国の公的文書が正当なものであることを証明するプロセスですが、アポスティーユと異なり、相手国の領事館による追加の認証が求められる場合があります。

公印確認の手続きでは、まず外務省で文書に付与された公印(署名や印章)が正当であることを確認してもらいます。その後、相手国の在外公館(領事館や大使館)で、外務省の認証が有効であることを確認し、追加の認証を受けます。これにより、文書は相手国で公式なものとして使用できるようになります。公印確認の特徴は、手続きが複雑で時間がかかること、そして領事館での手続きに追加費用がかかる場合があることです。ただし、非加盟国ではこの方法しか利用できないため、必要に応じて手続きを進める必要があります。

アポスティーユと公印確認の違い

アポスティーユと公印確認の違いを表に簡単にまとめると以下のようになります。

項目 アポスティーユ (Apostille) 公印確認
適用 外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約 ハーグ条約非加盟国における公文書の確認手続き
対象国 ハーグ条約加盟国 ハーグ条約非加盟国
認証内容 発行国の公文書が正当であることを証明 公文書の公印(署名や印章)が正当であることを証明
発行機関 各国の中央当局または指定された機関(例:日本では外務省) 日本では外務省、相手国の領事館など
手続きの複雑さ 比較的簡易(加盟国内での相互認証が不要) 手続きが複雑(外務省の認証後、相手国領事館の認証が必要)
使用目的 ハーグ条約加盟国内で公文書を使用する場合 ハーグ条約非加盟国内で公文書を使用する場合
費用 比較的安価(外務省では無料) 領事館での追加認証が必要なため費用がかかる場合が多い
戸籍謄本や卒業証明書を加盟国内で使用 戸籍謄本を非加盟国で使用(例:サウジアラビア)
有効性 条約加盟国間でのみ有効 特定の非加盟国でのみ有効