アポスティーユとは?

アポスティーユ(Apostille) は、1961年の「外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)」に基づき発行される証明書のことです。この制度は、加盟国間で公文書の正当性を簡便に確認するために設けられました。

アポスティーユがあることで、他国で公文書(例:出生証明書、婚姻証明書、公証人の認証が行われた卒業証明書などの私文書等)を使用する際に、その文書が発行国で正当なものであることを証明することができたり、外国での各種手続き(婚姻・離婚・出生、査証取得、会社設立、不動産購入など)において、日本国内で発行された公文書を有効なものとして認めてもらうことができたりします。

アポスティーユを取得するには、公文書の発行機関(例:戸籍謄本を発行した市区町村役場など)で文書を用意した後、各国の指定機関(日本では外務省)で手続きを行います。申請が受理されると、アポスティーユという証明書が文書に添付されます。アポスティーユは、発行国で文書が正規に作成されたものであることを証明します。ハーグ条約の非加盟国が書類の提出先の場合、こうしたアポスティーユの発行ができないため、別途「公印確認」といって相手国の総領事館や大使館でさらに認証をしてもらうことで使用が可能となります。

アポスティーユは公印確認のプロセスを省くことができるため簡便に手続きを済ませることができますが、ハーグ条約の加盟国同士でのみ有効なものとなります。実際にはほとんどの主要国はハーグ条約に加盟しているので、ほとんどの手続きはアポスティーユで済ませることができます。(ハーグ条約の加盟国はこちら。2023年には中国も加盟しました。)

主な国のアポスティーユの発行機関は以下の通りです。

国名 発行機関
日本 外務省
アメリカ合衆国 各州の州務長官事務所
イギリス 外務・英連邦開発省(FCDO)
フランス 各県の県庁(Préfecture)
ドイツ 各州の行政機関
オーストラリア 外務貿易省(DFAT)
カナダ 各州の指定機関
韓国 外交通商部
ブラジル 各州の公証役場
アポスティーユと国際相続手続きの関係

アポスティーユはハーグ条約の加盟国間での公印確認のプロセスを省略できる便利な制度です。それでは外国籍の人が日本で亡くなったり、日本に預金や不動産を持っていたりした場合で、日本での相続手続きが必要になった場合はどうなるのでしょうか?

ケースによりますが、法務局や金融機関ではアポスティーユ(ハーグ条約の未加盟国の場合は公印確認)が求められることは一般的にはありません。例えば、被相続人が中国籍の場合には、一般的には中国の公証処で取得した相続人に関する公証書で相続関係を証明しています。今では中国もハーグ条約に加盟しましたが、加盟前は在日中国大使館や総領事館での公証書への公印確認が必要となります。しかし実際には、公印確認を登記手続きや口座解約手続きで求められたことはなく、またハーグ条約加盟後にアポスティーユを求められたこともありません。

国際相続の業務では、アポスティーユや公印確認が問題になることはほぼないでしょう。

当事務所では、被相続人が外国籍である場合の相続登記や口座解約といった相続手続きのサポートをしています。お気軽にご相談ください!

👉今すぐ無料相談