不動産の家賃収入を得た場合、その家賃収入そのものは不動産の所有者に帰属します。
課税上の扱い | 課税される税金 | |
不動産の所有者が個人 | 所有者である個人の不動産所得 | 所得税+住民税 |
不動産の所有者が法人 | 所有者である法人の収入(売上) | 法人税等 |
ここで、不動産所有者である個人が家賃収入を得た場合で、別途会社も経営していて、その会社で不動産家賃収入を計上したい場合にどのような方法があるのかを考えます。
会社で家賃を計上できれば、個人としての不動産所得の確定申告が不要になりますし、会社の売上で一本化できれば利益管理も容易になります。一方で受け取った家賃を何もせずに会社で計上するということはできません。あくまで不動産所有者が社長個人である以上、いくら自分の会社だからといって持ち主が違います。社長個人の所有物を他者に貸して、その対価を受け取ればその対価が社長に帰属することは当然です。
もし、この不動産の所有者を個人にしたままで家賃収入を会社で計上するとしたら、以下の2つの方法が考えられます。
会社が計上できる売上 | 借主から見た貸主 | ||
管理委託方式 | 社長個人が所有している不動産の管理業務を会社で行うものです。不動産会社に管理を委託して管理料を支払うイメージです。 | 不動産の管理料 | 個人のまま |
一括賃貸方式 | オーナーが所有する物件を会社が借り上げる方法です。この場合は、不動産管理会社の収益源は入居者からの家賃収入そのものとなり、オーナーに対して一括の賃料を支払うことになります。 | 不動産の賃料 | 会社に変更となる |
このうち、管理委託方式は導入が簡単です。貸主の変更も伴わないので借主との契約のやり直しなども不要です。ただし、会社で計上できるのはあくまで管理料です。外部の不動産会社に管理を委託する場合の管理料の相場は、家賃の3%から8%程度です。残りの額は個人の不動産所得として残ってしまいます。
一方の一括賃貸方式であれば賃料そのものを会社に移すことが可能です。ただし、借主から見れば、貸主が社長個人から会社に変更となるので、賃貸契約書の再締結が必要になります。そうした手間がかかりますが、
ただし、一点問題としては、社長個人が所有している不動産を会社が借りて、さらにそれを借主に貸しているという状態なので、会社から社長個人に賃料の支払いが必要になります。もし、社長個人が無償で会社に不動産を貸しているということになると社長から会社への贈与のような扱いになり、法人税に余計な課税がかかってしまう恐れがあります。
そのため、一括賃貸方式を採用する場合のキモとなるのは、会社から社長個人への家賃設定ということになります。当事務所では、一括賃貸方式で個人の所得を別の事業会社や不動産管理会社などに移転したいというオーナー向けにシミュレーションサービスを行っています。お気軽にご相談ください!
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている