2024年4月1日より、外国人を所有権の登記名義人とする登記の申請について、いくつかのルールが作成されました。そのうちの一つが外国人を所有権の登記名義人とするときのアルファベット氏名の登記です。

具体的には、ローマ字氏名(氏名の表音をアルファベット表記したもの)を申請情報として提供する必要があります。また、この申請には、ローマ字氏名を証明する情報を添付情報として提出することが求められます。

ローマ字氏名の提供が必要な場合とは?

外国人を登記名義人として登記申請を行う場合、基本的にローマ字氏名を申請情報として提供する必要があります。このローマ字氏名とは、外国人の氏名をアルファベットで表記したものであり、日本国内で外国人が正式な手続きにおいて使用する重要な情報となります。たとえば、住民票や旅券(パスポート)に記載されている氏名の表記が該当します。

なお、外国人の氏名変更の登記を申請する場合にも同様の要件が適用され、ローマ字氏名の提供およびその証明情報の提出が必要です。

ローマ字氏名を証する書類

ローマ字氏名を証する情報としては、以下の書類が挙げられます。

1. 登記名義人となる者が住民基本台帳に記録されている外国人の場合

住民票の写し(ローマ字氏名が記載されているものに限ります)を添付情報として提出します。この場合、住民票にはローマ字氏名が正確に記載されていることが条件となります。多くのケースでは所有権の登記名義人となる場合は住民票と登記申請時に添付しますので、その住民票に記載されているアルファベットを記載すればよいでしょう。

2. 登記名義人となる者が住民基本台帳に記録されていない外国人であり、旅券(パスポート)を所持している場合

この場合には、旅券(パスポート)の写しが必要です。ただし、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 有効な旅券であること—登記申請の受付日において有効な旅券であることが必要です。
  2. 必要なページが含まれていること—ローマ字氏名、有効期間、写真が記載されているページが含まれていること。
  3. 原本との相違がない旨の記載—旅券の写しに原本と相違がない旨が記載され、登記名義人となる者の署名または記名押印がされていることが必要です。

3. 登記名義人となる者が住民基本台帳に記録されていない外国人であり、旅券を所持していない場合

旅券(パスポート)を所持していない場合は、登記名義人となる者自身が作成した上申書を提出することが求められます。この上申書には、次の事項を記載する必要があります。

  • 登記名義人となる者のローマ字氏名
  • 当該ローマ字氏名が本人のものであることに相違ない旨
  • 旅券(パスポート)を所持していない旨

さらに、この上申書には、登記名義人となる外国人の署名または記名押印が必要です。

ローマ字氏名を提供しなくても差し支えない場合

ただし、以下の場合には、例外的にローマ字氏名を申請情報として提供しないことが認められています。

  1. 登記名義人となる者が通称名を氏名として登記申請をしている場合。
  2. 登記名義人となる者が住民基本台帳に記録されているが、外国人住民票にローマ字氏名の記載がない場合。
  3. 代位により登記を申請する場合や、その他の登記名義人以外の者が登記を申請する場合で、登記名義人となる者が住民基本台帳に記録されていない外国人であるため、ローマ字氏名を証明する情報の提出が困難な場合。

なお、上記の例外のうち、住民基本台帳に記録されているがローマ字氏名が記載されていない場合については、ローマ字氏名およびそれを証明する情報を提供することで、ローマ字氏名を登記記録に記録することが可能です。

登記申請書の記載例

ローマ字氏名を申請情報として提供する場合、以下のように登記申請書に記載します。例えば、住民票や旅券(パスポート)をもとに正確なローマ字表記を記載し、添付情報として必要な書類を明記する必要があります。

権 利 者 ○○市○○町一丁目5番6号
ジョン・スミス(JOHN SMITH)

外国人が所有権の登記名義人となる場合には、ローマ字氏名を提供し、それを証明するための適切な書類を提出することが必要です。一方で、特定の条件を満たす場合には、例外的にローマ字氏名を申請しなくてもよいということになっています。

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