法人が所有権の登記名義人として登記を申請する際には、法務局が法人の正確な情報を把握するために「法人識別事項」という法人特有の情報を申請時に提供する必要があります。「登記識別情報」と名称が似ていますが、まったく異なる話なので混同しないようにしましょう。
法人識別事項とは?
法人識別事項とは、法人が登記申請を行う際に必要な情報で、その法人を特定するためのものです。法人識別事項には次の3つの分類があり、それぞれのケースに応じて適切な情報を提供する必要があります。法人識別情報自体は外国で登記された法人だけではなく、日本国内で登記された法人でも必要になりますが、特に海外で登記された法人、つまり会社法人等番号がない法人が少々込み入っています。
設立準拠法国を証明するための書類とは?
会社法人等番号を有しない外国法人外国法人が登記申請を行う場合、設立準拠法国を証明する書類として、以下のようなものが該当します。
- 政府作成書面等
設立準拠法国に基づいて作成された公式書類や、それに準じる書類です。たとえば、法人の所在地を証明する文書や法人がその国の法律に基づいて設立されたことを示す証明書が含まれます。
これらの書類には、法人の設立準拠法国が明記されている必要があります。ただし、法人の住所と書類作成国が一致している場合、その国名を設立準拠法国として扱うことができます。
設立根拠法を証明するための書類とは?
会社法人等番号を有しない法人が設立根拠法を証明するためには、次のような情報が求められます。
- 公務員作成の情報
公務員が職務上作成した書類が基本となります。たとえば、法人の登録証明書や設立許可証が該当します。 - 代替情報
公務員作成の書類がない場合、それに代わる適切な情報が必要です。作成主体や書式などから法人の設立根拠法を明らかにできる書類が必要となります。
また、法人の名称や住所を変更するための登記を申請する際にも、法人識別事項が登記されていない場合には、上記の申請情報と添付情報が必要になります。たとえば、法人名の変更や新しい住所への移転を反映させるための手続きでも、法人識別事項を正確に提供しなければなりません。
当事務所では、海外在住の方の登記申請だけではなく、海外の法人が登記名義人になる場合の不動産登記手続きや外国法人の登記も対応しております。お気軽にご相談ください!
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている