Last Updated on 2025年1月4日 by 渋田貴正

合同会社の社員の退社のパターン

合同会社(その他合名会社や合資会社といった持分会社も同様)の社員は経営者兼出資者です。株式会社の取締役のようなものといった説明がされますが、合同会社においては、社員の退社は経営陣の退社のほかにも持分の払戻しが必要になるなど、株式会社の取締役の退任以上に重大な影響を会社に及ぼす可能性があります。

そこで、会社法では合同会社の社員が退社できるパターンをしっかりと定めています。

まず、法定退社、つまり退社が発生する事由そのものを会社法で定めているパターンです。法定退社の事由に該当すると、その社員は合同会社を退社することになります。

 

法定退社が発生する事由
1 定款で定めた事由の発生
総社員の同意
 3 死亡
合併(合併により当該法人である社員が消滅する場合に限る。)
破産手続開始の決定
合併、破産手続き開始以外の理由での解散
後見開始の審判を受けたこと
除名

上記に該当すれば、その社員は当然に退社することになります。ただし、5,6,7番の法定退社事由については定款で法定退社事由から除くことも可能です。

任意退社で社員の退社に制限を掛けることができる

法定退社事由は当然退社になるケースであり、それ以上でも以下でもありません。しかし、もう一つの退社方法である任意退社については制限を掛けることが可能です。

(任意退社)

会社法 第606条
  1. 持分会社の存続期間を定款で定めなかった場合又はある社員の終身の間持分会社が存続することを定款で定めた場合には、各社員は、事業年度の終了の時において退社をすることができる。この場合においては、各社員は、6箇月前までに持分会社に退社の予告をしなければならない。
  2. 前項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
  3. 前二項の規定にかかわらず、各社員は、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができる。

合同会社の社員の任意退社とは、以下の2パターンに分けられます。

1)やむを得ない事由がある場合の即時退社

2)6か月前に会社に予告して、かつ事業年度終了まで待ってからの退社

このうち、やむを得ない事由がある場合の即時退社については定款であっても制限を設けることはできません。どのようなケースが「やむを得ない事由」に該当するかは司法書士などの専門家に確認しながら進めるとよいでしょう。

一方の6か月前の退社予告による退社については、定款で別段の定めが可能となっています。この点が退社に制限をかけることを可能にしています。

例えば、入社後3年以内は退社できない、退社の予告は10か月前にする、など退社にあたっての要件を定款で加重することが可能です。

不当な要件を加重して社員を拘束し続けることはできませんが、一般的に許容できる範囲であれば任意退社の要件を重くすることは認められるということです。

合同会社で社員間の退社についてお悩みがある方は当事務所までお気軽にご相談ください!