Last Updated on 2025年2月28日 by 渋田貴正
近年、日本国内での法人口座開設の審査が厳格化しており、特に海外在住の代表者がいる企業にとっては、さらなるハードルが存在します。国内在住の代表者に比べて海外在住の代表者の法人については提出書類が多く、審査も厳しくなっています。しかし、十分な準備を行い、適切な対応をすれば、口座開設の可能性はゼロではありません。
口座開設したい銀行をリストアップ
まず、どの銀行で口座を開設するのか、そしてなぜその金融機関での口座開設をしたいのかを明確にすることが重要です。メガバンクは審査が厳しい傾向にあるため、本店所在地の地方銀行やネットバンクも選択肢に入れるとよいでしょう。実際に、地方銀行の方が比較的柔軟な対応をしてくれるケースもあります。また、近年ではネットバンクの口座開設も増加傾向にあり、検討の一つとして含めてもよいでしょう。
日本国内の銀行対応担当者の設置
海外在住の代表者がいる場合、日本国内に銀行とのやり取りを担当する者を設置する必要があります。これは、銀行が迅速に連絡を取れる窓口を求めているためです。担当者としては、日本在住の取締役や監査役、あるいは信頼できる日本在住の社員を選任するとスムーズに進みます。
必要書類の準備
海外在住の代表者がいる場合、通常の法人口座開設に必要な書類に加えて、以下のような追加書類が求められることがあります。
- 海外の署名証明書:代表者が在住している国の公証役場などで取得する必要があります。
- 現住所証明書:公共料金の請求書や居住国の役所が発行する住所証明書など。
- 翻訳書類:日本語の翻訳が必要になることが多いため、翻訳者を手配し、銀行の指示に従って正確な訳文を準備する必要があります。
例えば、中国に在住している場合、中国国内の公証役場で公証書を取得し、日本語訳を添えて提出する必要があります。このプロセスには時間がかかるため、余裕を持った準備が求められます。
口座開設の申請と審査の流れ
口座開設の申請は、各銀行の指示に従って進めます。通常、以下の流れになります。
- 事前相談・問い合わせ:銀行に事前相談を行い、申請要件を確認する。
- 書類提出:必要書類を準備し、銀行に提出する。
- 審査:銀行が会社の事業内容や取引の実態を審査する。
- 面談(必要に応じて):代表者または日本国内の担当者が銀行担当者と面談する。
- 口座開設の可否決定:審査が通れば口座開設が完了する。
審査のポイントとしては、会社の事業内容が明確であり、反社会的勢力との関係がないこと、そして実体のあるビジネスを行っていることが証明できるかが重要になります。そのため、事業計画書や取引先の情報も求められることがあります。
オンラインバンクも検討する
最近では、ネットバンク(オンラインバンク)の法人口座開設が比較的容易になっています。オンラインバンクは審査の柔軟性が高く、海外在住の代表者がいても開設できるケースがあります。ネットバンクは書類提出や審査がオンラインで完結するため、物理的なやり取りが少なく、スムーズに進む点がメリットです。
海外在住の代表者が日本で法人口座を開設するのは決して簡単ではありませんが、適切な準備と対応をすれば可能です。ポイントを整理すると、
- メガバンクだけでなく地方銀行やネットバンクも検討する。
- 日本国内に銀行連絡担当者を設置する。
- 海外の印鑑証明書や住所証明書を準備し、翻訳も行う。
- 事業の実態を証明できるよう、事業計画書などを整備する。
- ネットバンキングも積極的に活用する。
これらのポイントを押さえ、計画的に進めることで、スムーズな口座開設が可能になります。
当事務所では、海外在住の方の日本での会社設立のサポートを行っています。お気軽にご相談ください!

司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。合わせて、複数の資格を活かして会社設立や税理士サービスなどで多方面からクライアント様に寄り添うサポートを行っている。