Last Updated on 2025年3月20日 by 渋田貴正
株式投資を始めるとき、証券会社で口座を開設します。その際、「一般口座」と「特定口座」のどちらを選ぶかで確定申告時の対応が大きく変わってきます。
特定口座はさらに「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」に分かれます。つまり、証券口座は大きく分けて「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」の3つがあります。それぞれの口座の種類について、確定申告時にどのような違いがあるのかをまとめました。
一般口座と特定口座の違い
一般口座とは?
一般口座は、証券会社が税金の計算をしてくれない口座です。つまり、自分で1年間の取引を記録し、損益を計算し、確定申告を行う必要があります。
- 取引ごとの利益や損失を自分で管理しなければならない
- 年間の利益を集計し、確定申告で税金を計算・納付する必要がある
- 税率は特定口座と同じ(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)
一般口座を使うと確定申告時の処理や計算の負担が大きいため、できる限り手間を省きたい人にはあまり向いていません。
特定口座とは?
特定口座は、証券会社が年間の損益を計算し、「年間取引報告書」を作成してくれる口座です。さらに、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。
- 源泉徴収あり
- 証券会社が自動で税金を計算・徴収し、納付までしてくれる
- 確定申告が不要(ただし、場合によっては申告したほうが有利なことも)
- 源泉徴収なし
- 証券会社が年間取引報告書を作成するが、税金の納付は自分で行う
- 確定申告が必要
特定口座(特に源泉徴収あり)を利用すれば、証券会社が年間の取引の数字をまとめてくれるので、投資の税務処理がグッと楽になります。
- どの口座を選ぶべき?
基本的には、最も確定申告時に手間のかからない「特定口座(源泉徴収あり)」が便利です。しかし、場合によっては特定口座(源泉徴収なし)や一般口座を使わざるを得ないケースや使った方が便利なケースもあります。
また、税金とは関係ありませんが、自動で所得税や住民税が差し引きされる特定口座(源泉徴収あり)と違って、一般口座や源泉徴収なしの特定口座は手元に売買差額がそのまま残るため、投資資金の運用面では有利といえます。
特定口座(源泉徴収あり)を選ぶべき人
- 確定申告の手間を省きたい
- 会社員などで、余ったお金で副収入として株式投資をしている
- 税務処理が面倒で、証券会社にお任せしたい
特定口座(源泉徴収なし)を選ぶべき人
- ほかの投資と損益通算をしたい(損した分をほかの利益と相殺する)
- 配当所得を「総合課税」で申告し、配当控除を活用したい
あえて一般口座を選択する理由
特定口座を選ぶほうが楽ですが、次のような場合は一般口座を利用することになります。
- 外国株を取引するとき
- 日本の証券会社が特定口座に対応していない海外の株は、一般口座で取引するしかありません。
- 証券会社が特定口座に対応していない場合
- 証券会社によっては、一部の商品が特定口座で扱えないことがあります。
- 特定口座を開設しないまま取引を始めてしまった場合
- 途中から特定口座に切り替えられないことがあるため、最初にしっかり選びましょう。
- 法人名義で取引する場合
- 特定口座は個人向けの制度なので、法人で株を取引するときは一般口座を使う必要があります。
口座の種類 | 税金上のメリット | 税金上のデメリット |
---|---|---|
一般口座 | ・自由に管理できる・特定口座に対応していない取引も可能 | ・損益計算を自分で行う必要がある・確定申告が必須 |
特定口座(源泉徴収あり) | ・税金の計算・納付を証券会社が代行・確定申告が不要 | ・税金が自動的に引かれるため、控除や損益通算の調整ができない |
特定口座(源泉徴収なし) | ・証券会社が年間取引報告書を作成・損益通算や配当控除を活用できる | ・確定申告が必要 |
株の売買をするなら、税金の手続きをスムーズにするために「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶのがおすすめです。ただし、外国株や法人取引など、やむを得ず一般口座を使わなければならないケースもあります。

司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。合わせて、複数の資格を活かして会社設立や税理士サービスなどで多方面からクライアント様に寄り添うサポートを行っている。