Last Updated on 2025年3月12日 by 渋田貴正

合同会社を解散する際に必要となる「清算人」。清算人の役割や選任方法について、特に「合同会社の清算人には社員以外の人も就任できるのか?」という点について詳しく解説します。合同会社の清算手続きを進める際に重要なポイントとなるため、ぜひ参考にしてください。

清算人とは?合同会社における役割

合同会社が解散すると、事業活動は終了し、会社の財産整理や債務の清算を行う「清算」手続きに入ります。この清算業務を担当するのが「清算人」です。清算人は、会社の債権回収、債務の支払い、残余財産の分配などを行い、最終的に会社の法人格を消滅させる役割を担います。

合同会社における清算人の選任方法

合同会社における清算人と株式会社の清算人の違いや、選任方法は以下の通りです。

合同会社(会社法第647条) 株式会社(会社法第478条)
① 定款で定める者 ① 定款で定める者
② 業務執行社員(業務執行社員が複数いる場合は過半数の同意) ② 取締役(取締役がいる場合)
③ 総社員の同意による選任 ③ 株主総会の決議による選任
④ 上記のいずれも選任されない場合、裁判所が利害関係人の申立てにより選任 ④ 上記のいずれも選任されない場合、裁判所が利害関係人の申立てにより選任

上記の通り、合同会社では「定款に定めがない場合」、清算人は業務執行社員の過半数の同意で選任されます。ただし、総社員の同意によって清算人を選任することも可能です。

ここで疑問に思うのが、株式会社と異なり社員間の個人的なつながりが重視される合同会社で社員以外の者を清算人として選任することも可能なのかという点です。この点については、合同会社で社員以外の者を清算人として選任することも可能です。清算手続きに入る以上もはや経営における個人的なつながりは重要ではなく、また清算業務には専門的な知識や経験が必要とされる場合が多く、社員の中に適任者がいないことも考えられるためです。そのため、公認会計士、弁護士、税理士、会社経営の経験がある第三者などが清算人として選任されるケースもあります。

その場合でも、選任方法は定款や社員の同意に基づいて決められます。

合同会社の業務執行社員と清算人の関係

合同会社を解散すると、業務執行社員は業務執行権や代表権を失い、清算業務を行う権限は清算人に移ります。

ただし、合同会社の業務執行社員は、株式会社の取締役とは異なる立場にあります。株式会社では、解散後に取締役が退任するのが一般的ですが、合同会社の業務執行社員は「社員」であるため、解散後も引き続き会社の構成員としての地位を持ちます。

そのため、清算持分会社(解散後の合同会社)の清算人を交代させる権限は、依然として社員が持っています(会社法第647条1項3号)。

合同会社の清算人選任時の注意点
  1. 清算人を選任する際の決議方法を確認する
    • 定款で清算人を指定しているかどうかを確認する。
    • 指定がない場合は業務執行社員の過半数の同意または総社員の同意で選任可能。
  2. 社員以外の清算人を選任する際の手続き
    • 社員以外を清算人にする場合でも、定款の規定や社員の同意に基づく選任が必要。
    • 清算人が選任されない場合、裁判所に選任を申立てることが可能。
  3. 登記手続き
    • 清算人を選任したら、速やかに登記申請を行う。
    • 清算人の住所などを記載する必要がある(株式会社の場合と異なる点)。

合同会社の清算人は、社員でなくても選任が可能です。ただし、選任方法には一定のルールがあり、定款の定めや社員の合意に基づいて適切に手続きを進める必要があります。清算人の選任後は、清算業務を適切に進め、会社の法人格を消滅させるまでの手続きを確実に行うことが重要です。

合同会社の解散・清算には、多くの法的手続きが必要になります。適切な清算人の選任や登記の手続きをスムーズに進めるためには、専門家のサポートが欠かせません。

当事務所では、合同会社の解散・清算に関するご相談を承っております。適切なアドバイスと手続きのサポートを提供いたしますので、お気軽にご相談ください!