Last Updated on 2025年4月5日 by 渋田貴正

かつて中小企業の法人形態として広く活用されていた「有限会社」。しかし、現在はその設立ができなくなっており、新たに法人を設立する場合は「株式会社」または「合同会社」のいずれかを選ぶ必要があります。特に、近年は合同会社の活用が増えており、合同会社の存在感は年々高まっています。

有限会社とは?その歴史的背景

有限会社は、かつて中小企業向けの法人形態として制度化されていた会社形態です。出資者は「社員」と呼ばれ、出資額の範囲内で有限責任を負います。最低資本金300万円、社員(出資者)数50名以下という条件があり、比較的小規模な企業に特化した形態でした。

しかし、2006年5月の会社法施行に伴い、有限会社の新設はできなくなりました。現在存在する有限会社は、いわば「特例有限会社」として存続しているのみで、あくまで過去に設立された法人に限られます。

合同会社とは?現代版「有限会社」としての位置づけ

合同会社は、2006年の会社法施行によって新たに誕生した会社形態です。アメリカの「LLC(Limited Liability Company)」を参考に設計されたもので、柔軟な内部構造や意思決定手段を特徴としています。

最大の特徴は、出資者(=社員)が自ら経営に関与できる点です。株式会社のように、出資者(株主)と経営者(取締役)が分かれていないため、少人数の企業や家族経営、スタートアップには特に使いやすい仕組みです。

有限会社制度は廃止され、合同会社が新設された理由

有限会社制度の廃止と合同会社の新設は、2006年の会社法改正の大きな目的の一つである「会社制度の簡素化・柔軟化」と深く関係しています。

当時の有限会社制度は、以下の点が問題視されていました。

項目 有限会社制度の問題点
定款自治の制限 定款で自由に経営ルールを定める余地が少なかった
組織構造の固定 役員制度がなく、経営体制を変更・拡張しにくい
ビジネスモデルへの対応力 時代に即した新たな業種・スタイルへの対応が困難
法制度の非効率 株式会社と類似していながら有限会社法という別の法律で規定

こうした背景から、会社法の大改正にあたっては「重複・類似する制度を整理する」方向性がとられました。有限会社法を残したまま内容を変更するという方法も理論的には可能でしたが、複数の法人制度を併存させるよりも、新たに一本化された柔軟な会社制度を作ったほうが、制度設計上も明確かつ効率的だと判断されたのです。

その結果、有限会社法は廃止され、代わって設けられたのが合同会社です。株式会社と合同会社は「会社法」という同じ法律の中で規定されることになり、合同会社は有限会社と同様に「出資者が自ら経営に関与する」仕組みを持ちつつ、定款自治の幅が広く、より現代的かつ柔軟な運営が可能な法人形態として設計されました。

有限会社と合同会社の違い
項目 有限会社(特例有限会社) 合同会社
設立の可否 新設不可(2006年以降) 設立可能
最低資本金 300万円 制限なし(1円でも可)
経営の形態 出資者=経営者(社員) 出資者=経営者(社員)
意思決定機関 社員総会 定款で自由に設計可能
公開性・透明性 比較的高い 株式会社に比べ低い
社名の制限 商号に「有限会社」が必要 「合同会社」が必要
社会的信用 中程度 やや低め(認知度の問題)
上場の可否 不可 不可
合同会社を設立するメリット

設立コストが安い

合同会社の設立には、株式会社に比べて登録免許税や定款認証費用が安く済むため、初期費用を抑えたい起業家にとって非常に有利です。具体的には、株式会社設立時に必要な定款の「公証人認証」が不要です。

意思決定がスピーディ

合同会社は、経営の仕組みを定款で自由に設計できるため、社員(出資者)間での迅速な意思決定が可能です。これは、少人数の経営体制やファミリービジネスにおいて大きな強みとなります。

利益配分も自由

株式会社では出資比率に応じた配当が基本ですが、合同会社では出資比率にかかわらず利益配分を自由に設定できます。たとえば「実務を担うAさんに多く、出資だけのBさんには少なく」といった設計も可能です。

上記のようなメリットから、以下のような人が合同会社の設立に向いているといえます。

  • 起業を検討しているが、設立コストを抑えたい人
  • 1人または家族・少人数で事業を始めたい人
  • 出資者全員が事業に関与する、いわば共同経営の形態をとりたい人
  • 外部の投資家からの資金調達を想定していない人
  • 将来的な上場などを考えていない、スモールビジネス志向の人

「有限会社のような会社を作りたい」「気心の知れた仲間と気軽にビジネスを始めたい」——そういった方にとって、合同会社はまさに理想的な会社形態です。

2006年以前であれば有限会社という選択肢がありましたが、今はそれに代わる制度が合同会社です。設立のしやすさ、運営の柔軟さ、利益配分の自由度といった観点からも、現代のビジネスに合った仕組みとなっています。

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