Last Updated on 2025年1月4日 by 渋田貴正

未成年者相続放棄

未成年者でも相続放棄は可能です。しかし、婚姻している(成年擬制)などの事情がない限り、未成年者が単独で相続放棄を行うことはできません。未成年者が単独で相続放棄できないのは、未成年者法律行為に法定代理人の同意が必要とされているためです。この制約は、未成年者を法的に保護する目的があります。

未成年者相続放棄を行うための手続き

未成年者相続放棄をするには、通常、法定代理人である親が代理して手続きを行います。ただし、親が単独で未成年者相続放棄を決定することには注意が必要です。もし、親が自由に未成年者相続放棄を行えるとしたら、場合によっては遺産分割協議を経ずに親が遺産を単独で相続できてしまう恐れがあります。このような状況は利益相反の問題を引き起こす可能性があり、公平性を欠く結果となることも考えられます。

そこで、未成年者相続放棄をする際には、原則として特別代理人の選任が必要です。特別代理人は、未成年者の利益を適切に守るために家庭裁判所が選任する第三者であり、相続人ではない独立した立場の者が務めます。

特別代理人が不要な場合

特別代理人が不要なケースも存在します。たとえば、親が未成年者と一緒に相続放棄を行う場合や、親がすでに相続放棄をしており、相続人でなくなっている場合です。このような場合には利益相反の問題が生じないため、特別代理人の選任は不要となります。

具体的には、親が既に相続放棄を行った場合、親は相続人としての資格を失い、未成年者の代理人として公平な立場で手続きが可能です。

未成年者相続放棄を行う理由

未成年者相続放棄を行う理由はさまざまです。たとえば以下のようなケースが考えられます。

  1. 被相続人に借金がある場合 被相続人が第三者から多額の借金を抱えていた場合、未成年者がその負担を背負うのを避けるために相続放棄を選択することがあります。
  2. 離婚した配偶者の遺産 離婚した配偶者の遺産を未成年者に相続させたくないという親の意向がある場合もあります。この場合、親自身は元配偶者の相続人に該当しないため、未成年者に代わって相続放棄を申し立てることが可能です。
  3. 遺産の中身が明らかでない場合 被相続人の遺産が不透明で、負債のリスクが懸念される場合、未成年者に負担を負わせないために相続放棄を選択することもあります。
  4. 親族間の関係性 親族間の争いを避ける目的で、未成年者を含む相続人全員が相続放棄を選択する場合もあります。

特別代理人選任手続きの流れ

特別代理人の選任手続きは以下の流れで進められます。

  1. 家庭裁判所への申立て 未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に特別代理人選任の申立てを行います。この申立ては親やその他の親権者が行うのが一般的です。
  2. 必要書類の提出 被相続人の戸籍謄本や未成年者の戸籍謄本、相続関係図、遺産内容がわかる書類(負債がある場合はその証明書)などが必要です。
  3. 特別代理人の選任 家庭裁判所が申し立てに基づいて適切な候補者を選び、特別代理人として選任します。この特別代理人未成年者の利益を守るため、就任の適否を判断します。
  4. 相続放棄の申立て 特別代理人が選任された後、特別代理人が家庭裁判所に相続放棄の申立てを行い、相続放棄の手続きが進められます。

注意点と当事務所のサポート

特別代理人の選任手続きや相続放棄の手続きには、多くの書類準備や手続きの理解が必要です。特に、特別代理人の選任を必要とする場合、家庭裁判所でのやり取りが複雑になることもあります。また、手続きには一定の期限が設けられており(通常は相続の開始を知った日から3か月以内)、期限を過ぎると自動的に相続を承認したとみなされるため、迅速な対応が重要です。

当事務所では、特別代理人の選任手続きの代行や相続放棄の手続き代行を行っています。複雑な書類準備や家庭裁判所とのやり取りもお任せいただけますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。