遺産分割の調停を行うケースとは?
相続人の間で遺産分割協議がまとまらないケースはそれほど珍しくありません。もともと相続人同士が不仲であるケースがまず思いつきますが、当事務所が取り扱うケースでも、普段やり取りしていない相続人が遺産分割協議を行おうにも連絡が取れないといったケースもよくあります。特にその相続人が遠方に住んでいるようなケースで起こりやすいです。戸籍の附票などから住所を探し出したとしても、実際にそこに居住しているかも分からないですし、書面を送っても、なしのつぶてといったこともあります。
このような場合に、その他の相続人はどのような対応を取れるでしょうか。遺産分割協議は、相続人全員が傘下する必要がありますので、協力してくれない相続人抜きで行うということはできません。また、協力的ではない相続人としても、よほど積極的に相続に関わりたくないという場合には相続放棄という手段もありますが、単に面倒だというようなケースや相続放棄の熟慮期間を過ぎてしまっているようなケースでは、相続放棄すらできないということになります。こうした場合には、相続人としては何とか協力してくれない相続人と連絡を取る必要がありますが、現実的にはそうした相続人に対して協力を求めることは困難です。
そこで、相続人が採る手段として用意されているのが、家庭裁判所の調停による分割です。
遺産分割の調停の申し立て方法
遺産分割協議の調停申し立ては、遺産分割に協力しない相続人、または連絡が取れない相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して申し立てを行います。当事者の合意で定めた家庭裁判所に申し立てをすることもできますが、そもそもやり取りができない以上合意も難しいので、基本的には相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行うことになります。
また、遺産分割に参加すべき当事者全員が申立人または相手方になる必要があります。つまり、法定相続人のほかに、包括受遺者や相続分を譲り受けた者です。遺産分割に協力している相続人を申立人として、やり取りできない相続人を相手方として、その相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てるということになるのが通常です。もし、相手方の住所が遠方にあるという場合は、管轄の家庭裁判所も遠方になってしまいます。そんな時は、近場の相続人を相手方に含めて、その相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てるのも一つの手です。
遺産分割の調停の必要書類
遺産分割の調停を申し立てるには、以下の書類が必要となります。
1)申立書
2)相続人の全員が分かる戸籍謄本+住民票
3)遺産目録
遺産目録には、預貯金の金額や、所有している不動産などを列挙します。また、通常はその遺産内容が間違いないかを証明するために、不動産の登記事項証明書や、預貯金の通帳コピーなどの添付も求められます。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている