Last Updated on 2022年10月13日 by 渋田貴正
農地を相続したら農業委員会への届け出が必要
土地はその利用目的に応じて、宅地や農地、雑種地などさまざまな地目が設定されています。その中で、農地については食料自給に関わるものであるため、その権利変動や用途変更については規制がかけられています。
ここでいう「農地」とは、登記上の地目とは関係なく、客観的な状態で判断されます。例え登記上の地目が「田」や「畑」になっていなくても、実際に農地として使用していれば農地として規制対象となります。(家庭菜園などは規制対象となる農地から除かれます。)
農地を売買や贈与で取得するには、その農地が所在する農業委員会の許可が必要です。しかし、相続によって農地を取得した場合には農業委員会の許可は不要です。相続以外にも、包括遺贈や相続人に対する特定遺贈、離婚時の財産分与についても許可は不要です。
ただし、相続等によって農地を取得した相続人については、原則として農業委員会に対して相続した旨を届け出る必要があります。届け出については明確な期限は指定されていませんが、「遅滞なく」ということなので、登記手続きが終わり次第速やかに届け出たほうがよいでしょう。
農地を転用した場合
相続人が農地を相続した後で、その農地を転用して例えば家やアパートを建てたいといったようなケースでは、農地の転用にあたりますので都道府県や市町村の許可が必要になります。農地の転用(農地でなくなること)は権利移転以上に重大なので農業委員会ではなく自治体そのものの許可が必要ということです。
ただし、市街化区域内にある農地を転用する場合には、農業委員会への届け出だけ必要です。市街化区域内の農地を転用することは、市街化のためにむしろ有効だからです。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。合わせて、複数の資格を活かして会社設立や税理士サービスなどで多方面からクライアント様に寄り添うサポートを行っている。