相続税の納税義務は居住国や国籍で変わる
相続税は、外国籍の人が亡くなったり、海外居住者が相続人である場合も課税されるケースがあります。
相続税の納税義務者は、以下のパターンに分かれています。
無制限納税義務者 |
(1)相続時点で日本に住所を有する
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イ 一時居住者でない人
ロ 一時居住者である人(被相続人が外国人被相続人又は非居住被相続人である場合は(3)で判定。)
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対象物の所在国を問わず相続を受けた全財産に相続税を課税
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(2)相続時点で日本に住所を有しない
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イ 日本国籍を有する人で以下に該当する人
1.相続前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある人
2.相続前10年以内のいずれの時においても日本に住所を有していたことがない人(当該相続をした者が外国人被相続人又は非居住被相続人である場合は(4)で判定。)
ロ 日本国籍を有しない人(被相続人が外国人被相続人又は非居住被相続人である場合は(4)で判定。)
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制限納税義務者 | (3)相続時点で日本に住所を有する | 上記(1)以外の人 | 日本国内にある財産の相続にのみ相続税を課税 |
(4)相続時点で日本に住所を有しない | 上記(2)以外の人 | ||
特定納税義務者 | 住所を問わず、相続時精算課税制度の適用を受けた財産に課税 |
「一時居住者」とは、永住者・日本人配偶者・定住者以外の在留資格で滞在している者で、相続前15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年以下である人をいいます
「外国人被相続人」とは、相続の時において、在留資格を有し、かつ、日本に住所を有していた被相続人をいいます。
「非居住被相続人」とは、以下のいずれかに該当する人をいいます。
・相続の時において日本に住所を有していなかった被相続人で、相続前10年以内のいずれかの時において日本に住所を有していたことがあるもののうちそのいずれの時においても日本国籍を有していなかった人
・相続前10年以内のいずれの時においてもこの法律の施行地に住所を有していたことがない人
「特定納税義務者」とは、贈与について相続時精算課税を選択している人が被相続人になる場合の相続人を言います。
上記の通り国際的な相続は課税関係が非常に複雑です。無理やりに1つの表にまとめると以下のようになります。
相続人 | 相続時点で日本に住所あり | 相続時点で日本に住所なし | |||||
日本国籍あり | 日本国籍なし | ||||||
被相続人 | 一時居住者以外 | 一時居住者 | 非居住相続人以外 | 非居住相続人 | |||
日本に住所あり | 一時居住者以外 | 全て | 全て | 全て | 全て | 全て | |
一時居住者 | 全て | 国内のみ | 全て | 国内のみ | 国内のみ | ||
日本に住所なし | 相続前10年以内に住所あり | 非居住被相続人以外 | 全て | 国内のみ | 全て | 国内のみ | 国内のみ |
相続前10年以内に住所なし | 全て | 国内のみ | 全て | 国内のみ | 国内のみ |
ただし、結局非常に分かりにくいため、外国籍の人や海外在住の人が相続人や被相続人になるケースでは、課税関係については国際的な課税に詳しい税理士に相談することをおすすめします。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている