「とき」と「時」の法律上の使い分け
法律の条文を読んでいると、「とき」と書かれている場合と、「時」と書かれている場合があります。あえて使い分けているので、この両者には明確に違いがあります。
まず「とき」というのは「~した場合」という意味です。英語にすれば「in the case of ~」といったイメージです。
「とき」という表現は頻繁に出てきますが、例えば「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」というのは、「相続人が数人ある場合には、相続財産は、その共有に属する。」ということです。このとき、「とき」という単語には時間的な意味は含まれません。
一方で「時」というのは時期や時刻などの時間的な面を指すときに使います。この場合、「~の時点」と置き換えればよいでしょう。英語にすれば「when~」といったイメージです。
例えば「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」というのは「相続人は、相続開始の時点から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」ということです。「相続人は、相続開始した場合、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」というのは意味は通りますが、文脈的におかしいです。
このように、「とき」と「時」は明確に使い分けられています。
「とき」と「時」の使い分けは日常でも同じこと
この使い分けについては、法律の条文だけではありません。ひごろメールを打ったり文章を書いたりする際にもこの使い分けは行われます。もし、日常で何気なく「とき」と「時」を使っているのであれば、上記の使い分けに沿って使ってみてください。「とき」は「~の場合」に置き換えても意味が通ります。一方で「時」は「~の時点で」と置き換えても意味が通る場合に使うと覚えておきましょう。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている