ベトナム国籍の人でも日本で遺言を遺せるのかということについて、よく当事務所にも問い合わせがあります。
結論から言えばベトナム国籍の人でも日本で遺言をすることができます。
そもそも外国籍の人が日本国内で遺言を作成するには3つのクリアするポイントがあります。
1)本国の法律で遺言の制度があるかどうか
2)遺言の方式について日本の民法を適用できるかどうか
3)不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうか
ベトナムの法律で遺言の制度があるか
まず、遺言については以下のように定められています。
法の適用に関する通則法
第37条 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。
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つまり、被相続人について適用される法律(本国法)で遺言の定めがあるかどうかということが必要です。本国の法律に遺言の定めがなければ遺言を残すことはできません。
そして、ベトナムでは、遺言の制度がありますので、遺言自体は残すことができます。
遺言の方式について日本の民法を適用できるかどうか
そのうえで、遺言の方式については、以下のように定められています。
遺言の方式の準拠法に関する法律
第2条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。 |
「行為地法」とは、とある法律行為をする地の法律のことです。公正証書遺言であれば、遺言という法律行為を行うのは日本国内の公証役場なので行為地法は日本です。
そのため、公正証書遺言については必ず行為地は日本になります。また、不動産に関する遺言についても不動産の所在地が日本国内にあれば海外で残した遺言であっても日本の民法の方式で残すことが可能です。
不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうか
不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうかも重要な要素です。
その点について、ベトナムの相続の準拠法は以下のようになっています。
不動産の相続 | 不動産所在地の法律が適用される |
動産の相続 | ベトナムの法律が適用される |
このように、ベトナムは不動産は所在地法、動産についてはベトナム法が適用されます。(相続分割主義)
つまりベトナム国籍の方で日本に不動産を保有している場合は、その不動産については日本の民法に従って遺言を残すことができます。動産についてはベトナムの法律が適用されるため、日本で遺言が作成できても、それが有効かどうかについてはベトナムの法律を精査する必要があります。
外国籍の方が日本の公証役場で遺言作成する場合には、本国の法律の条文など遺言制度が規定されていることを公証役場に証明する必要があるなど、日本国籍の方に比べて手続きが複雑です。
ベトナム国籍の方で日本で遺言を遺したいという場合はお気軽に当事務所までご相談ください!
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている