胎児でも相続人になれる

胎児、つまりまだ母親のおなかの中にいる子についても相続権は認められます。

そもそも胎児とは妊娠第8週目以降を指します。

胎児の権利については、民法上以下の3つが定められています。

民法

第721条 胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす
第783条 父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
第886条 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす
2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

上記のように胎児であっても相続権は発生するということになります。この場合は、通常であれば妊娠中(厳密には妊娠第8週目以降)に夫が不幸にも死亡してしまった場合に適用されるということになろうかと思います。

ただし、胎児なので相続する権利(権利能力)があっても、遺産分割協議に参加することは不可能です。この場合、法定代理人である母が子の代わりに遺産分割協議に参加すればよいのかといえばそうではありません。母親も相続人の一人であり、自らの権利で遺産分割協議に参加できるわけなので、胎児である子と母親は形式的には利害関係にあります。そのため、この場合は母親が相続放棄しない限りは胎児である子のために特別代理人の選任が必要となります。

ただし、もしかしたら双子の場合もあり、また不幸にも死産のケースも考えられます。その場合に胎児を含めた遺産分割協議をやり直す必要も出てきます。このように胎児がいる段階では遺産分割協議を行うこと自体が不確定要素が強いため、胎児がいる場合の遺産分割協議については出生を待ってから行うのも一つの手です。

胎児名義の相続登記

胎児である段階でも相続登記によって登記名義人になることはできます。ただし、上記の通り胎児である段階での遺産分割協議は消極的に考えられているため、胎児である段階での相続登記については、法定相続分による登記が基本であると考えておくべきです。

そのうえで、胎児が生まれて名前が決まった後は、氏名変更の登記が必要となります。

また、不幸にも死産だった場合は相続登記の抹消が必要となります。

婚姻前にできた胎児の相続と生前認知

あまりないケースかもしれませんが、子が婚姻前にできて、父が婚姻前に死亡してしまうようなケースについては、なにもしないままでは胎児である子は相続人にはなれません。

この場合は、父は生前認知という手続きを行うことで胎児を相続人とすることができます。生前認知については母親の本籍地の自治体に対して行います。

胎児がいる場合の相続については、上記の通りいろいろと検討事項があります。当事務所では胎児がいる場合の相続についても対応しています。お気軽にご相談ください。

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