時効取得に必要な「平穏」な占有とは?
時効により不動産や動産などを取得するには以下の要件を満たす必要があります。
1)所有の意思
2)平穏
3)公然
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このうち、「平穏」というのがどのような状態を指すのかを説明します。
簡単にいえば、「平穏」とはその言葉の通り穏やかに占有を開始したということなのですが、暴行や強迫によって無理やり占有を開始したわけではないということです。民法上は「平穏」という概念は時効取得などモノの所有権を取得する場面でのみ使われる概念です。
この「平穏」の反対は「暴行」若しくは「強迫」です。つまり無理やり他人の占有を奪って占有を開始することです。このような犯罪的な行為で開始された占有まで時効取得で保護する必要はないということです。
それでは、他者から占有について抗議を受けたり、明け渡し請求を受けたりしたら平穏でなくなるのかといえばそうではありません。あくまで平穏とは暴行などによって占有を開始していないということを表す概念なので、他者から占有について抗議されたからといって、それが平穏でなくなるということはありません。「不法占拠」という言葉があるので、抗議を受ければ平穏でなくなるといったイメージがあるかもしれませんが、時効取得の場面では、他者から抗議を受けたり、訴えられたりしたことそれ自体が時効取得に影響するわけではありません。
犯罪的な方法で占有を開始したわけではない限り、それは「平穏」な占有といってよいでしょう。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている