ソリシターとは?

国際相続の仕事を行っていると、ソリシター(Solicitor)という人にお世話になることがあります。

ソリシターに似た制度は日本にないため、国際的な相続業務などを行っていないと、まず聞くことがないと思います。
ソリシターというのは法律的な文書の作成や法的な助言を与える専門家です。誤解を恐れずに言えば、日本の弁護士のうち、民事の業務だけを切り離して行える専門家といった形です。

特にイギリスやアイルランドなどの国際相続の場面でよくお世話になります。

本来、宣誓供述書などの相続関係の文書について認証を行うのは公証人(Notary Public)の仕事です。しかし、イギリス国籍の被相続人の場合で、イギリスの公証人の認証を受けることは非常に大変です。なぜなら、イギリスは公証人の人数が非常に少ないためです。日本であれば、たいていの都市部には公証役場が存在しているため、認証業務といえば公証人に依頼することはそれほど困難ではありません。しかし、イギリスでは公証人の人数が少なく、事実上機能していない状態です。相続時の宣誓供述書の認証などを公証人に依頼することが困難な場合があります。

そこで、ソリシターに依頼して、公証人が行う認証業務を代わりに行ってもらうということになります。

ただし、ソリシターは日本でいうところの弁護士のようなものであり、ソリシターが認証した文書を、公証人が認証した文書のように扱うことができるのかといった疑問があります。この点についてはイギリスの法的サービス法によってソリシターにも認証業務が行える旨が定められています。

他にソリシターの制度が定められている国

イギリス以外にソリシターの制度が定められている国の例として以下の国があります。

・オーストラリア
・ニユージーランド
・カナダ

注意しておかなければならないのは、ソリシター自体は民間の職業であり、公証人のように当然のように認証権限があるわけではないということです。イギリスでは実質的に公証人制度が機能しておらず、そのためにソリシターが認証権限を持っているということになります。しかし、その他の国でそうした法律の定めがなければ、宣誓供述書などの認証は原則通り公証人が行うことになります。

いずれにしても、被相続人が英国籍であればソリシターのお世話になることがあります。

ちなみに、相続業務においては関わることがありませんが、バリスターという制度もあります。ソリシターが民事であればバリスターは法廷関係の仕事になります。

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