自己のものでも時効取得は成立する
不動産にしても動産にしても、他人の財産を一定期間占有することで、その取得を認められることを時効取得といいます。
時効取得の要件については、民法で以下のように定められています。
第163条 |
法律上、「他人の物」と明記されているので自分の所有物を時効取得するということは成り立たないように読み取れますが、実際には自分のものであっても時効取得は成立し得ます。
ただ、そもそも自分の所有物を自分で時効取得するということに意味があるのかということですが、例えば自分が購入した不動産について自分名義に登記していないために所有権の取得を第三者に対抗できない場合には自分のものを時効取得するということに意味があります。
ただし、不動産については登記されている人が真の所有者であるということが法律上確定するわけではありませんが、登記されている以上真の所有者であることが推定されます。そのため、登記名義人とは別に真の所有者がいる場合、真の所有者はみずからが所有者であることを積極的に証明しなければいけません。具体的には自らが真の所有者であること、なぜ真の所有者とは別の者が登記名義人になっているかといったことです。
このようなケースでは結局裁判所への訴えによって争われるケースが多いですが、登記名義人以外の真の所有者が自ら真の所有者である証拠を提出する必要があります。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている