国際相続における相続人の範囲の確定
相続人の範囲についてはそれぞれの国の法律によって決められます。日本であれば、配偶者のほか、子、直系尊属、兄弟姉妹といったように決められていますが、国によってはこのルールと異なるケースがあります。
例えば中国では以下のように法定相続人が決められています。
第1順位:配偶者.子女.父母
第2順位:兄弟姉妹.祖父母.外祖父母
子女……婚姻による子女.婚姻によらない子女.養子.扶養閑係にある継子女
父母……実父母.養父母.扶養関係にある継父母
兄弟姉妹……同父母.同父異母.同母異父の兄弟姉妹.養兄弟姉妹.扶養関係にある継兄弟姉妹
見て分かるように日本とは異なり、第1順位に父母が含まれています。
それでは、もし日本に不動産を持つ中国籍の人が配偶者と子を残して亡くなった場合、被相続人の父母も交えて遺産分割協議をする必要があるのでしょうか?答えは「No」です。
国際相続においては、相続人の範囲を決めるには2段階あります。
1段階目(身分の確定)
前提となる身分関係が法的に有効に成立しているか(婚姻・親族関係・養子縁組・離婚・離縁など)
2段階目(相続人の確定)
1段階目を前提として、相続法に照らして誰が相続人になるか
それぞれの段階で適用すべき法律は以下のようになります。
身分の確定 | 本国の法律 |
相続人の確定 | 相続の準拠法 |
例えば日本に不動産を所有していた中国国籍の人が被相続人のケースを考えてみます。この場合婚姻関係など相続の前提となる身分の確定については、中国の法律に照らして有効に成立しているかを判断します。
次に相続人の確定の問題です。不動産の相続について、中国では所在地法、つまり日本の民法が適用されることになります。これには相続人の範囲の確定も含まれます。そのため、相続人の範囲については日本の民法に照らして確定すればよいということになります。
前述のように中国の相続人の範囲は日本と異なりますが、日本に所在する不動産の相続という意味では相続人の範囲は日本の民法に従って確定させればよいということになります。さらに預貯金などの動産については被相続人の死亡時の常居地の法律が準拠法となりますので、結局日本で暮らしていて日本で不動産を所有していた中国籍の人が亡くなった場合、相続人の確定については日本の民法に従って決めればよいということになります。(中国では父母も第一順位の相続人になっていますが、日本の民法に従って相続人を確定させればよいので、日本に所在する不動産については子がいる場合は父母は相続人になりません。)
これは中国国籍の人だけでなく、日本以外の国籍の人が亡くなった場合のすべてにおいて上記のように相続の準拠法を調べて相続人の確定を行います。もし、相続人の確定も本国の法律で判断するというように被相続人の国の法律で規定されていたら、相続人の範囲も日本とは異なることになるかもしれませんので注意が必要です。
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司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている