不動産には土地と建物があります。土地は日本の国土であり、すべての土地を個人、法人、自治体、国など誰かが所有しており、登記されています。
しかし、建物については未登記の家屋も存在しています。不動産登記法上は、以下のように建物について登記義務が課されています。
不動産登記法
(建物の表題登記の申請) |
このように登記義務がある建物ですが、実際のところは未登記の家屋も少なからず存在しています。
未登記の家屋は不動産登記法上は「違法」で罰則もありますが、実際には罰則が適用されることはなく、未登記のままになっている家屋は現実的には黙認されている状態です。
市区町村の固定資産税の課税は未登記家屋も対象
未登記家屋は黙認されているといっても、それは不動産登記上の話です。各地区町村が課税する固定資産税については未登記の家屋も対象となります。未登記家屋が違法といってもそれは国が解決すべき問題であり、市区町村からすれば固定資産税が課税できれば未登記であることについて何かお咎めがあるわけではありません。
未登記家屋の相続手続き
この未登記家屋も相続の対象になりますが、未登記であるため相続登記の対象にはなりません。しかし、なにも手続きを取らなければ固定資産税の納税義務者は法定相続人の連帯債務ということになります。
未登記家屋について自治体に所有者を届け出た場合には、その所有者として届け出た相続人が固定資産税の納税義務者として登録されることになります。未登記家屋については法務局で相続登記を行う代わりに、自治体に直接相続した相続人を届け出ることで固定資産税の納税義務者を未登記家屋を相続した相続人に変更することができます。
この未登記家屋の相続人の届出については、単に届出書を自治体に提出すればよいというわけではなく、相続登記を法務局に申請するのと同じように以下の書類が必要になることが通常です。
1)被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍または法定相続情報一覧図
2)遺産分割協議を行った場合は遺産分割協議書と、遺産分割協議書に押印した実印の印鑑証明書
未登記家屋を相続していない相続人からすれば、この届出をしておかないと連帯債務のままになってしまいますので、相続登記と同様に未登記家屋の相続の届出も行っておく必要があります。
当事務所では、未登記家屋の相続があった場合の自治体への届け出も代行しています。お気軽にお問い合わせください!
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている