被相続人が生前行った贈与については、相続開始から遡って7年以内(2023年12月31日以前は3年以内)に行われた分については、相続税の計算上相続財産に含める必要があります。
ただし、相続開始前3年を超えて前に行われた贈与については合計額から100万円を控除した残額が加算対象となります。
具体的には、贈与の時期に応じて以下のようになっています。
贈与の時期 | 加算対象期間 | |||
~2023年12月31日 | 相続開始前3年間に行われた贈与が加算対象 | |||
2024年1月1日~ | 贈与者の相続開始日
|
|||
2024年1月1日~2026年12月31日 | 相続開始前3年間に行われた贈与が加算対象(移行期間につき、従来の期間が適用される) | |||
2027年1月1日~2030年12月31日 | 2024年1月1日~相続開始日までに行われた贈与が加算対象 | |||
2031年1月1日~ | 相続開始前7年間に行われた贈与が加算対象 |
海外で行った贈与も課税対象になる?
例えば海外で長期間暮らしていた人が海外で贈与を行い、その後日本に帰国してほどなく相続が発生した場合を考えてみます。この場合、海外で行った贈与が加算対象になるのかということについてですが、加算対象となる贈与は「贈与税の課税価格計算の基礎に算入される贈与」と定められています。
そのため、海外在住時に行った贈与で、日本で贈与税の課税対象にならない贈与については加算する必要はありません。
贈与税の課税対象になるかどうかは以下の表の通りです。
受贈者 | 贈与時点で日本に住所あり | 贈与時点で日本に住所なし | |||||
日本国籍あり | 日本国籍なし | ||||||
贈与者 | 一時居住者以外 | 一時居住者 | 非居住受贈者以外 | 非居住受贈者 | |||
日本に住所あり | 一時居住者以外 | 全て | 全て | 全て | 全て | 全て | |
一時居住者 | 全て | 国内のみ | 全て | 国内のみ | 国内のみ | ||
日本に住所なし | 贈与前10年以内に住所あり | 非居住贈与者以外 | 全て | 国内のみ | 全て | 国内のみ | 国内のみ |
贈与前10年以内に住所なし | 全て | 国内のみ | 全て | 国内のみ | 国内のみ |
「一時居住者」とは、永住者・日本人配偶者・定住者以外の在留資格で滞在している者で、贈与前15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年以下である人をいいます。
上記の表に当てはめて、「全て」に該当する人については、海外で行った贈与も相続税の加算対象に含める必要があるということです。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている