Last Updated on 2024年12月28日 by 渋田貴正

合同会社では利益剰余金の資本金への組み入れができるのか?

株式会社においては、毎期積み上げてきた利益剰余金を資本金に組み入れることが可能です(無償増資)。同じことが合同会社でも可能なのでしょうか?その答えは、Noです。

株式会社での利益剰余金は毎期の利益を積み上げてきたものですが、株主にとっては配当で還元されることがあるとはいえ、配当の決議がない以上、利益剰余金について、個別の株主が保有しているというわけではありません。一方、合同会社では、利益剰余金は具体的に個々の社員の持分が集合したものです。そのため、社員全員の同意であっても、合同会社の利益剰余金を資本金に組み入れることはできないのです。

合同会社でも資本剰余金の資本金への組み入れは可能

一方、資本剰余金については合同会社でも資本金に組み入れることができます。合同会社で無償増資といえば、資本剰余金の資本金への組み入れを指します。合同会社では出資を受けた際に、いくらを資本金にするかということは社員の決議で決めることができます。出資額のうち資本金に入れる金額を0円にして、全額資本剰余金に振り分けることもできます。こうして振り分けられた資本剰余金を後日資本金に振り替えることができるということです。

もともと資本金を少なくする理由は、登記費用の節約や、消費税など税金対策という側面が強いのですが、そうした事情も会社規模が大きくなり、取引先が増えてくれば変わってきます。

資本剰余金は登記されず、資本剰余金の比率が大きいと、資本金が少なくなってしまい、登記事項証明書を見た人からすればやや印象が良くないかもしれません。また資本金を1,000万円などキリのよい数字にしたいということから、資本剰余金を資本金に組み入れることもあります。こうした理由から、資本剰余金の資本金への組み入れが行われることがあります。

合同会社での資本剰余金の資本組入れは、業務執行社員がいれば、その過半数により決議します。

合同会社で資本剰余金の資本金への組み入れを行った場合は増資の登記が必要となります。V-Spiritsでは、合同会社の増資の登記手続きはもちろんのこと、増資による税務への影響を含めて、多面的にアドバイスを行っております。合同会社における増資の登記については、当事務所までお気軽にご相談ください!