Last Updated on 2024年12月31日 by 渋田貴正
社用車とは会社名義の自動車のこと
社用車といえば会社で使用する車というのが一般的な解釈ですが、もう少し厳密にいえば会社が保有する車、つまり車検証の使用者が会社名義である車をいいます。
車が社用車になるのは、主に以下のようなパターンがあります。
1)会社のお金で車を購入した場合
2)会社設立時に自家用車を現物出資する場合
3)自家用車を会社に売却する場合
車を会社名義の社用車にすれば、減価償却費を経費計上できるなどのメリットがあります。しかし一方で、コスト増になる要因もあります。それが自動車保険の等級です。
社用車の保険等級を引き継ぐには?
社長個人が保有している車を現物出資や売買で会社名義に移した場合、使用者は会社になります。中小企業では専属の運転手がいるわけでもなく、社用車はそのまま社長が使用することが多いので、実際に運転する人が変わるわけではありません。しかし、車検証の名目上の使用者は社長個人から会社に変わります。使用者が変わるということは、保険の等級も変わります。
社長個人の自動車保険の加入期間が長く、事故などがなければ保険の等級はそれなりに上がっています。そんな中で、自動車の名義を法人に変更すると、また等級が振出しに戻ってしまいます。
社用車にして減価償却費を会社で計上できたとしても、自動車保険の負担が上がってしまえば、その節税効果も薄れてしまいますし、長い目で見ると減価償却による税金の減少よりも自動車保険の負担増のほうが高くなってしまうということにもなりかねません。
しかし、そんな保険の等級の問題を解決することができる手段があります。それが、「個人・法人間の事業の同一性に係る確認」です。
これは個人事業主が事業用に使用していた車を会社名義にした場合に使える方法です。個人事業主が法人化した場合は、事業の実態としてはほぼ変わらないため、自動車の使用方法にも変化がないだろうということで、特別に自動車保険の等級引継ぎが認められる場合があります。
事業内容の同一性に係る確認書 山田 太郎はこのたび営んでいた事業を法人化することとし、2022年4月1日をもって、株式会社ABCとなったことを確認いたしました。 (確認者)事業所所在地 東京豊島区東池袋1-24-1 電話番号 ○○-○○○○-○○○○ 税理士 渋田 貴正 |
見ればわかるように税理士の確認が必要です。もし確認できなければ、等級の引継ぎはできません。税理士の協力が必要になってきますので、
この方法が使えるかということについては自動車保険会社などに確認することになりますが、こういった手段もあるということは知っておいてもよいかもしれません。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている