Last Updated on 2025年1月2日 by 渋田貴正

ネット記事などを読んでいると、しばしば「清算」と「精算」を混同して使用していることがあります。文字にすると、「さんずい」か「こめへん」かという違いしかありませんが、実際の意味は大きく異なります。

清算とは

清算とは物事の関係などをきれいさっぱり後始末をつけることです。日常でも、「関係を清算する」といった使われ方をします。

特にビジネスの世界でいえば、2つの使われ方をします。

一つは、会社などの法人を閉鎖するときです。法人は解散・清算のプロセスを経て閉鎖されることになります。この時に使うのは「清算」です。

もう一つは、金融機関などからの借入金を返し終わることです。ただ、あまりこちらの言い方は現実的にはあまりしないかもしれません。
「借入金を清算した」というのはすべて返済し終わったという意味ですが、「借入金を全額返済した」という方が自然な気がします。

結局、ビジネスの世界で「清算」といえば会社を閉鎖するときにしかほぼ使われない、非常に限定的な言葉ということになります。

精算とは

「精算」のほうは「清算」に比べて使用頻度は高いです。「精算」は「概算」の対義語です。難しくいえば、一定の行為のあとで金額を精密に計算して確定することです。

最も使われるのは「経費精算」の場面だと思います。例えば、出張費として10万円を「概算」で払って、出張後に実際の金額を確定させて差額を「精算」するということです。

そのほかに年末調整も所得税の「精算」です。毎月の給料から「概算」で所得税を源泉徴収して、年末調整で所得税の額を確定させて「精算」するということです。

もちろん経費はすべて従業員が立て替えて会社からその分受領するというように、「概算」と伴わないケースもありますが、この場合も広義の「精算」です。

このように、「精算」という言葉は「清算」に比べて使用頻度も高く、実際のビジネスの現場で使うのも90%以上は「精算」です。

以上ご参考になれば幸いです。