Last Updated on 2025年1月4日 by 渋田貴正

役員関係の登記と資本金の関係

株式会社の取締役その他の役員に関する変更の登記や、合同会社の業務執行社員や代表社員に関する変更の登記については登録免許税が以下のように定められています。

資本金の額が1億円以下 1万円
資本金の額が1億円超 3万円

たいていの会社は資本金の額が1億円以下になっていると思います。なぜなら資本金1億円以下の会社は、資本金1億円超の会社に比べて税制上の優遇措置が設けられているためです。(資本金1億円の壁)

今では資本金だけで企業規模は測れないということで見直しも考えられていますが、依然として資本金が多いほどに税制上不利になるということは否めません。

そのため、上記の登記についても、多くの企業では役員、社員関係の変更登記の際は資本金額1億円以下の1万円が適用されます。

役員関係の登記と資本金の関係

細かい話になりますが、当期の前後で資本金が1億円以下になったり1億円を超えたりする場合、どちらの登録免許税が適用されるのでしょうか?

例えば、合同会社で社員が加入した結果1億円を超えたケースや、社員が退社して資本金を払い戻した結果資本金が1億円以下となったケースです。この場合は、「登記申請時点における登記記録上の資本の金額」を基準に判定することになります。登記申請前に増資や減資が行われている場合であっても、判定はあくまで登記されている資本金をベースに行います。

例えば株式会社で役員変更後に増資があって資本金が初めて1億円を超えた後に2件の登記を申請した場合、役員変更時の登記上の資本金は1億円以下なので登録免許税は1万円ということになります。この場合で、増資が先に効力発生していたとして、それでも役員変更の登記を先に申請した場合であっても登記上の資本金が1億円以下である限り、登録免許税は1万円です。

また、合同会社で業務執行社員が加入して資本金が1億円を超えた場合で、業務執行社員加入と増資の登記を同時申請した場合でも、登録免許税は1万円です。なぜなら業務執行社員の加入と資本金の増加のどちらが先に効力発生しているかといえば業務執行社員の加入だからです。出資金のうちいくらを資本金にするかということは社員が加入した後に決定することです。

このように、役員関係の登記の登録免許税と資本金については、「登記申請時点で登記されている資本金をベースにする」というのが答えです。資本金1億円超の企業からすれば2万円の差は大したことないかもしれませんが、少なくとも間違った登録免許税で登記申請すると補正や還付手続きなどで手間がかかりますので、注意しておきましょう。

当事務所では、役員や業務執行社員の変更関係の登記も承っています。お気軽にご相談ください。