Last Updated on 2025年1月5日 by 渋田貴正

我々税理士が仕事で数字を扱う場合、税金の計算に関する場面と、税金の計算の前段階として会社の決算の数字を作る場面の2つがあります。

その中で、決算の数字を作るとき、経理業務と会計業務の違いについてふと考えることがあります。どちらも会社の数字を扱う仕事であるというイメージがありますが、この両者はどのように違うのでしょうか?

一般的には企業での仕事の募集といえば「経理部」という募集は見かけますが、「会計部」という募集は見かけません。このように部署名という点で見れば経理という言葉が頻繁に使われますが、仕事の分類という意味では経理と会計は異なるものです。

会計とは、月次や年次決算や、その数字をもとに会社の財務状況や経営成績を分析したり報告したりする仕事です。一方で経理とは日々の支払いや債権債務の管理、経費精算、帳簿への記帳業務など、会社が行うべき日常のお金に関する業務を行う仕事です。

時間的に見れば、経理は日々の取引にフォーカスし、会計は月次や年次などの期間の数字にフォーカスした仕事と言えます。

一般的には以下のようにざっくりと仕事が分類できます。

主な業務内容
経理 取引記録・伝票処理 取引内容を伝票に起こし、仕訳を記録する
経理 帳簿記帳 伝票を基に、仕訳帳や総勘定元帳に記録する
経理 資金管理 入出金の管理、銀行口座の確認、資金繰り
経理 給与計算 給与の計算、支払手続き、源泉徴収の処理
経理 請求書管理 請求書の発行と管理、未収入金の確認
経理 支払業務 取引先への支払処理、振込手続き
経理 経費精算業務 従業員の経費の精算や振り込みの業務
会計 決算対応 月次・四半期・年次の決算資料作成
会計 税務対応 税金の計算と納付、税務申告に必要な資料の準備

ただし、経理と会計で業務内容が分かれているわけではありません、会計業務の一つである月次決算書の作成のベースになるのは、経理が作成した日々の仕訳です。このように、会計の仕事と経理の仕事というのは密接に関係していて、特に経理から会計に数字を渡す(実際にはソフトなどを通してリアルタイムに情報が共有されることがほとんどです。)というフローを通して、会社の決算書が作成されていきます。