Last Updated on 2025年1月5日 by 渋田貴正
海外在住の方が日本で会社設立する場合、日本国内ではご実家やバーチャルオフィスなどを本店住所として登記するケースが多いです。しかし、実際にはこれらの登記上の本店住所は形だけのもので、実際の活動拠点は海外であり、オフィスとして使用しているのも海外の事務所や自宅という会社があります。
それではこうした海外の事業拠点の賃料は日本で経費計上できるのでしょうか?答えとしては「可能」です。
海外のオフィス(自宅兼オフィス)であっても、それが日本でのビジネスを行い収益を上げるために使用している場所であれば、そのコストは日本の会社で経費に計上することが可能です。海外出張に行けば現地で使用したタクシー代や会食代が経費になるのと同じです。
賃貸住宅であれば、実際に使用している面積や時間に応じて月間の賃料を按分して計上すればよいですし、持ち家であれば自ら設定した家賃を計上すればよいでしょう。
ただし、以下の点に注意しておく必要があります。
1)賃貸の場合、為替換算すると毎月の日本円ベースの家賃が変動します。そのため、毎月の家賃計上時にはその為替変動を反映して計上する必要があります。この点が日本国内で借りている店舗・オフィスと異なり、ひと手間必要なポイントです。
2)持ち家の場合、受け取った家賃については持ち主である社長(またはその他の役員・従業員)にとっての収入です。そのため、現地の税制に従って不動産収益を個人の所得として申告する必要が出てくる可能性があります。
日本であれば、社長が自分の持ち家に対して会社で家賃を計上すれば、それは社長個人の不動産所得になりますので確定申告が必要となります。一方で、海外に所在する不動産の収益については、社長が海外在住で日本側で非居住者扱いになっていると、日本ではなく現地で確定申告が必要となります。そのため、現地の税制に従って不動産収益の申告が必要になる場合があります。
いずれにしても、海外の拠点であっても、それが日本のビジネスのために貢献しているのであれば、家賃の計上は可能です。海外在住の方が日本で会社を経営する場合、このように検討すべきポイントが日本国内以上に多いです。当事務所では、海外在住の方の会社設立から、その後の税務顧問まで対応しています。
海外在住で会社設立をお考えの方はお気軽に当事務所までご相談ください!
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている