Last Updated on 2025年1月5日 by 渋田貴正
持分の払戻しと出資の払戻しの法的な違い
合同会社では出資を行った者を社員といいます。社員が合同会社に出資するのは、合同会社の経営に関与するという点が主な理由ですがそれ以外にも合同会社に出資したお金をもとに大きくなった会社から投下資本を回収するという意味があります。
そして合同会社において投下資本を回収する方法として定められているのが出資の払戻しと持分の払戻しです。両者の根本的な違いは以下の通りです。
出資の払戻し | 出資した資本金(または資本剰余金)の全部または一部を払い戻してもらうこと |
持分の払戻し | 合同会社を退社するために出資した資本金(または資本剰余金)と利益剰余金の全部を払い戻してもらうこと |
株式会社に例えるなら、ちょうど以下のようなイメージになります。
出資の払戻し | 特定の株主からの自己株式の一部取得 |
持分の払戻し | 特定の株主からの自己株式の全部取得 |
イメージとしての違いは以下の通りですが、実際に行う際の手続きも大きく異なります。
実際の法的な面での違いは以下の通りです。
持分の払戻し | 出資の払戻し | |
社員の退社 | 伴う | 伴わない |
払戻しの金額算定 | 時価 | 簿価 |
一部だけの払戻し | 不可 | 可 |
払戻しの限度額規制 | なし | あり |
持分の払戻しと出資の払戻しの手続き上の違い
特に最も大きな点は社員の退社を伴うかどうかです。
この点によって、手続きの流れとしては以下のようになります。
【持分の払戻し】
1)退社
2)定款のみなし変更
3)持分全部の払戻し
【出資の払戻し】
1)定款の一部(出資の価額)の変更
2)出資の全部または一部の払戻し
合同会社で社員の退社については債権者保護手続きが必要になったり、退社する社員との間のやり取りなどを伸長に行ったりする必要があります。お困りの方はお気軽に当事務所にご相談ください。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。合わせて、複数の資格を活かして会社設立や税理士サービスなどで多方面からクライアント様に寄り添うサポートを行っている。