Last Updated on 2025年1月16日 by 渋田貴正

海外で登記された会社が日本で事業活動するためには、日本で外国会社の登記が必要です。

会社法 第818条
  1. 外国会社は、外国会社の登記をするまでは、日本において取引を継続してすることができない。

この「取引の継続」というのは商品の販売やサービスの提供など会社の事業活動(単発でのイベント等のスポット的な事業は除く)全般を指しますが、例えば外国会社が日本の会社に出資することは、この「取引」に該当するのでしょうか?

外国で登記された会社が株式会社の株主になる場合

株主になって議決権を行使したり、日本の会社から配当を受け取ったりする行為は、日本の株式会社との「取引」に該当するようにも思えます。しかし、外国会社が日本の株式会社の株主、または合同会社の社員になること自体は、法律上「継続取引」とはみなされません。そのため、外国会社が日本の会社に出資したことそれ自体で、日本で外国会社の登記が必要ということにはならないということです。

外国会社が合同会社の業務執行権・代表権を持つ場合

上記のように出資行為そのものが継続取引に該当するということにはならないので外国会社の登記をする必要もないのですが、所有と経営が分離していない合同会社で、社員ではなく業務執行社員や代表社員として外国の会社が日本で登記される場合は話が変わってきます。

合同会社の定款において、外国会社が業務執行社員や代表社員として定められている場合、その外国会社は業務執行権や代表権を持つことになります。つまり、外国会社が合同会社の業務執行社員や代表社員として登記されることは「継続取引」を行っていると解釈されます。

まとめると、外国の会社が日本の会社に出資する場合、以下のような扱いになります。

外国会社が株式会社の株主 外国会社の登記は不要
外国会社が合同会社の業務執行権のない社員 外国会社の登記は不要
外国会社が合同会社の業務執行社員 外国会社の登記が必要

さらに、外国会社の登記が必要ということになると、会社法に基づき少なくとも1名の職務執行者が日本に住所を持つことが必要となりますので、この点も外国会社が日本の合同会社の社員になる場合にはケアしておく必要があります。

当事務所では、外国の会社が日本の合同会社に出資する場合の登記や、外国会社の登記にも対応しています。お気軽にご相談ください!