Last Updated on 2025年2月1日 by 渋田貴正

一般社団法人の理事の任期は最長2年

一般社団法人の理事とは、株式会社でいうところの取締役のような存在です。

(業務の執行)
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第76条
理事は、定款に別段の定めがある場合を除き、一般社団法人(理事会設置一般社団法人を除く。)の業務を執行する。
2 理事が二人以上ある場合には、一般社団法人の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、理事の過半数をもって決定する。

上記の通り、理事の権限は株式会社の取締役と同様に、法人の業務執行を担い、経営の意思決定に関与する重要なポジションです。

その一般社団法人の理事の任期については、以下のように規定されています。

(理事の任期)
第66条 理事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。ただし、定款又は社員総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。

上記のように2年間という任期が定められているわけですが、一点だけ株式会社と決定的に異なる点があります。それは、任期の伸長の規定の有無です。公開会社以外の株式会社については、「定款によって、同項の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。」ということが規定されています。

一方で、一般社団法人にはそのような規定はありません。理事の任期は最大2年とされており、定款や社員総会の決議によって短縮することは可能ですが、逆に延長する規定はありません。

つまり、一般社団法人については、基本的に2年ごとに理事の任期満了の登記または重任の登記が必要ということになります。

一般社団法人の理事の任期が最長2年である理由としては以下のような点が考えられます。

・一般社団法人は営利を目的としないため、株主のような投資家が存在せず、理事を監視する機能が働きにくいため短期間(最大2年)で理事の選任・再任を行うことで、適切にガバナンスを確保する仕組みになっている。

・特に公益性の強い一般社団法人では、任期を短くすることで透明性を確保している。

一般社団法人の重任登記は忘れがち

一般社団法人の重任の登記については結構手続きが漏れがちです。株式会社の場合、特に非公開会社では、取締役の任期を最大10年に設定できるため、「取締役の変更登記は10年に1回でよい」と考えがちです。しかし、一般社団法人ではその考え方が通用しません。

理事の任期満了後、登記をしないまま放置すると、最悪の場合、過料(行政罰)を科される可能性があります。また、登記が適切に行われていない法人は、信頼性を損なう可能性があります。取引先や金融機関から、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)が求められた場合に、最新の登記が反映されていないと手続きに支障をきたすこともあります。上記のように一般社団法人は最低でも2年ごとに重任の登記が必要です。一般社団法人は「偶数の事業年度終了後は重任登記(または任期満了の退任登記)が必要」と意識しておくことが重要です。

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