Last Updated on 2025年3月3日 by 渋田貴正

会社を設立する際には「商号(会社の名前)」を決める必要があります。しかし、どんな名前でも自由に使えるわけではなく、商号には法律上のルールがあります。本記事では、商号を登記する際に気を付けるべきポイントを解説します。

主に守るべきルールは以下の3つに絞られます。

その1「使用可能な文字」
その2「商号の選定に関する制限」
その3「同一商号・同一本店の禁止」

それぞれについて詳しく説明します。

使用可能な文字によるNG

商号に使用できる文字には一定の制限があります。原則として、以下の文字が使用可能です。

使用可能な文字

種類 具体例
漢字 株式会社山田商事 など
ひらがな 株式会社やまだ
カタカナ 株式会社ヤマダ
ローマ字 株式会社YAMADA
数字 株式会社YAMADA012
記号 「&」「’」「,」「-」「.」「・」

ローマ字の使用について

ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合、単語の間を空白(スペース)で区切ることが認められています。

認められる商号の例

商号 説明
東京・ABC・2002商事株式会社 記号を適切に使用している
株式会社D. G. ピリオドを単語の区切りや英単語の省略として使用

※ピリオドは記号ですが、省略を示すものとして、例外的に直前がローマ字の場合には商号の末尾でも使用が可能です。

大阪Air Cargo株式会社 ローマ字の単語間にスペースを使用
株式会社A&B アンパサンドを適切に使用
株式会社dot-com ローマ字と記号を適切に使用

認められない商号の例

商号 理由
’70株式会社 商号の先頭に符号を使用しているため
株式会社&A 記号「&」が単語の区切りではないため
株式会社・ 記号が適切に使用されていないため
株式会社TOKYO,. コンマが単語の区切りとして機能していないため
鈴木 太郎株式会社 日本文字の間にスペースが入っているため

また、ひらがな表記の商号でも長音符号「ー」を使用することは可能です。

商号の選定に関する制限

商号を決める際には、法律上の制約を守らなければなりません。特に注意すべきポイントを以下にまとめました。

商号に関する主なルール

ルール 内容 認められない例
会社の種類を明示する 「株式会社」や「合同会社」などの組織形態を明記する必要がある 「山田商事」(組織形態なし)
公序良俗に反しない 他人を誹謗中傷したり、不快感を与える商号は不可 「詐欺株式会社」「合同会社悪徳商会」
誤認を与えない 他の業種と誤解されるような名称は不可 「株式会社銀行」(銀行ではない会社)

認められない商号の例

  • 「株式会社個人事業主」(会社と個人事業の混同)
  • 「株式会社警察」(公的機関と誤認されるおそれ)
  • 「株式会社国家権力」(公序良俗に反する)
同一商号、同一本店の禁止

会社法では、同じ住所で同じ商号の会社を設立することを禁止しています。これは、取引先や消費者が誤解しないようにするためのルールです。

禁止事項の概要

ルール
同じ本店で同じ商号不可 既に「株式会社山田商事」が登記されている住所で、新たに「株式会社山田商事」を設立することはNG
読み方が同じでも、表記が異なればOK 「株式会社ヤマダ商事」と「株式会社山田商事」を同じ住所で登記することはOK

ちなみに、清算登記が完了している会社については既にありませんので、清算後に同じ住所で同じ社名の会社を設立することは可能です。

商号の決定にはさまざまなルールがあり、知らずに決めると登記ができないこともあります。特に、

  • 使用できる文字の制限
  • 商号の選定ルール(誤認や公序良俗)
  • 同一商号・同一住所の禁止

といった点には注意が必要です。

当事務所では、商号の事前チェックや登記の手続きについてサポートしております。「この商号で登記できるか不安…」という方は、ぜひお気軽にご相談ください!