こんにちは! 税理士・司法書士・社労士・行政書士の渋田 貴正です。
2020年3月15日から始まった、定款認証と会社設立登記の同時申請。オンラインにより定款認証と会社設立登記を同時に行うことで、従来のように定款認証後に、会社を設立する人がみずから定款を法務局に提出する必要がなくなります。
ただし、この定款認証と会社設立登記の同時申請を行う場合には、定款もオンライン認証を行うことが原則なので、電子定款を作成しなければならないということになります。
さらに同時申請を行う上で、必要なのがテレビ電話方式による認証です。従来は、公証役場の窓口に行って定款認証を行うことが必要でしたが、テレビ電話方式を使えば、パソコンやスマホの会議システムの画面を通して本人確認が行われ、そのまま定款認証が行われます。会議システムといえば、ZOOMやGoogle Meet、Microsoft Teamsなどがありますが、定款認証のシステムも似たようなものです。これらのシステムに慣れていれば、テレビ電話方式も難なく使えるでしょう。
いずれにしても同時申請を行うには、
- 電子定款であること
- テレビ電話方式での定款認証を行うこと
の2点が必要です。
さらにもう一つ重要なポイントは、「同時」であることです。同時ということは、定款認証から会社設立が同じ日に行われるということです。つまり、会社設立日にこだわりがあれば、その日に合わせて公証役場でのテレビ電話方式による定款認証の手続きを行わなければならないということです。(つまり公証人とのスケジュールが合わなければ無理)
私自身、万が一、テレビ電話がつながらなかったらということもあり、二の足を踏んでいましたが、先日試してみました。(本当に、一度テレビ電話がつながらなかったことがあったので。その時は公証役場が通知したテレビ電話のURLが間違っていたのですが。)
実際にやってみると、定款を自分から添付する必要がないなど、結構手間が省けたので、便利かなという感想です。ただ、やはり設立日にこだわりがあれば、可能な限り前日までに準備しておきたいものです。同時申請の場合、どうしても定款認証が同日になるということもあり、設立日にこだわりがないケースでは今後も使ってみようかなといったところです。
ちなみに、同時申請というのは、実際には、会社設立の登記申請書を法務局にオンラインで提出する際に、同時に公証役場に定款認証のオンライン申請が飛びます。そして、同日中に定款認証を終えられれば公証役場から法務局に電子定款のデータが飛ぶという仕組みです。万が一、テレビ電話方式での認証がその日中に終わらなければ、会社設立の登記申請も却下されるというわけです。定款認証が終わる前に、会社設立の登記申請書もオンライン提出するということで、通常の会社設立の登記とはオンラインの上では順序が逆になっています。
ちなみに、この同時申請を行った場合で、以下の条件を満たすものは24時間以内に登記完了されることになっています。
1 取締役や監査役などの合計人数が5人以内であること
2 添付書類(定款,発起人の同意書,就任承諾書等)が全て電子署名付きのPDFファイルにより作成され,申請書情報と併せて送信されていること
3 登録免許税が収入印紙ではなく電子納付により行われていること
4 補正がないこと
こうやってみると、結構ハードルが高いです。特に2つ目の完全オンライン申請の条件は、発起人が全員電子証明書(マイナンバーカード)を持っている必要があったり、電子署名できる環境にあったりということで、最も満たすのが難しそうです。確かに24時間以内に登記が終われば、その後の口座開設や社会保険の手続きなどがスムーズに進められるのですが、実際の例はマイナンバーカードを持っている一人社長のケースなどであるかどうかといったところでしょうか?
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている